潜水の資格を取り、船を持ってからは、漁が半分、潜水半分でした。歌津では当時潜水をする人はいなくて私が初めてでしたから、獲り放題です。海に潜れば、もう大量に獲れるからね・・。漁協の付き合いの関係で、夏場はウニを獲りました。
潜水じゃないと竹竿で1個ずつ獲る、それも深さは10メートルくらいまで。自分は、農業は嫌いだったから、なんとかして量を獲りたいと思ってね。
海岸線が36キロメートルあるんですが、そこをどう獲っても良いってことになって、当時は禁漁区とかなかったんです。ウニっていうのは、鉤で獲るには、6月・7月の2か月間で漁をします。県条例でね。だけど、ほら、その時期を終わった後に潜水で獲るんだったら、8月・9月になっても獲れるんです。深いところのウニは、その時期もまだ卵を持たないから獲れる。獲れる、獲れないというのは、ウニの状態で決まります。
ただ、時期を外して獲っていたら、そこを指摘されて、「密漁ですよ」なんて言われて、「じゃあ、どうすればいいんですか?」って聞いたら、「届け出さえすればいい」って、「何とかなりますよ」って・・(笑)。それで、9月いっぱいまで、期間を延ばしてもらいました。県条例が変わったわけです。潜水をやる人は他にはいないのよ。私1人だけです。
「海は俺の金庫だ!」橋田 久さん(仮名)
[宮城県本吉郡南三陸町歌津泊浜]昭和22(1947)年生まれ
投稿日:2012.01.01
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