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サンマは今のように電気でおびきよせる前は、人力で「刺し網」やったの。そっち側とこっち側で6人くらいこう、並んでて、「イチニノサン」って掛け声かけて、息を合わせて手で網に掛かったサンマを網から落とすのね。水面に浮く方の「浮き球」を「アバ」っていうんだけど、そこにロープ通してね、船のスクリューの後方に、水面にふわっと落とすんだ。沈む方には錘が着いてて「脚」っていうのね。そこから網がカーテンみたいに降りて行く。
サンマは刺し網の目に頭のほう刺さるから、刺さると取れねえんだ。だから刺し網というんだね。このやり方だと頭の方がもげたり、頭から顔から皆ハラワタが出たりして、商品価値が落ちて、それは売り物になんねえんだ。自分の顔にもウロコやら、もげたもんがくっついてね。
そのうちに電気で照らすようなやり方に変わっていった。
ようになって、刺し網は無くなった。あの船見たことあっぺ? いっぱい電気つけてね。
今のような「棒受け網」になってから、50年にはなってないね。私たちが乗ってから2年で「刺し網」から「棒受け網」に変わったからね。サンマがいっぱいかかり過ぎてね、網が沈んだこともあるの。網が上がらないくらい。網を切って揚げたことがある。
サケ・マスは深いところにいるから、海底スレスレに来てるのもいる。網をただ海底まで下げるから別な魚もいくらかとれる可能性がある。
カツオ船には、7年ぐらい乗ったね。カツオ船は年中ではないんだね。春から夏に近い時から南の方さ行って、だんだん日本に近づいて来て10月末までやって、そのままの格好でサンマ漁に行ったね。
カツオは群れで、獲れるときは船で10艘も20艘も満船に積むくらい。かと思うと、群れがいてもエサのイワシを食わないのは1匹も食わないからね。食い気のないのはもう、カツオが何万匹いても食わないのね。全然獲れない。色が紫色か赤みを帯びて見えるのは飛びついてくる。青くなって普通のカツオみたいに泳いでるのは食い気ない。
ああいうとこで実際にカツオを見ると、腹に何も入ってないカツオはエサ食わないんだね。妙なもんで。腹、解剖してみるとね、胃袋にエサなんか入ってないんです。我々人間が考えると、胃袋にモノがないといっぱい食いたいようなもんだけど、逆なんだね。だから釣ったカツオ見ると、もう胃袋破裂するくらい食ってんだ。私たちがカツオ釣りやってる時は、1本づつ手で掴んだんです。釣れるカツオは口からよだれダラダラ流してるんだ。トロロ流したときみたいに。そういう魚は胃袋に破裂するくらいイワシ食ってんだ。そういう時は、50人で5回もやったら、もう5000貫も6000貫も釣ったよ(1貫は約4㎏)。だけど、餌がなくなれば、漁が半分でも帰ってこねば。イワシを船漕に水張って入れてるから、餌がなくなると帰って来る。カツオ船はでも長くて10日くらい。徐々に、ここの魚は食いつきがいいとか偵察しながら漁をするんだ。
サンマを獲るのはあっちまで行くんです。千島列島。四国の香川の漁船会社に11年くらいいたのかなぁ。
23、4歳のときかな。どうだったか、証拠も何も流されてわからないんです(笑)。
香川に行くのは年に2回ぐらいです。4月に港から船に乗って香川に行って1回行って帰ってきて、あと、行っても行かなくてもよかったんです。そういう契約ですから。そのころはお金に困るということはなかったからね。高松から鳴門のあたりまで、ずいぶん、漁船仲間と遊びに行きました。おいしいものを食べに行ったり、見に行ったりさまざまなところに遊びに行きました。女の人と遊ぶ、ですか? そういうことも(笑)。今電話よこしたのはそんな(遊び仲間の)メンバーです(笑)。
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