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俺のあだ名は「尚(なお)ちゃん」っていって、世間がちゃんをつけて呼ぶんだね。やっぱり総理大臣とか何とかさ、うんと目上の人には普通「ちゃん」ってつけねえから、「ちゃん」をつけるっつうことは、子どもの頃、近所で名前を呼ばれてたやつをそのまま大人になっても呼んでんだ。この辺はそういうのがあるね。
鱒淵には「5ちゃん」って、「ちゃん」付けで呼ばれたこの地区で名の通った人が5人、いるんです。俺も「尚ちゃん」でその中に入ったんだねえ。もう亡くなった人が多いんだけども、年の順から、こういう人たちでした。
「飲兵衛まんちゃん」は、私が若い時、同じ馬を引いて山仕事をした正直な先輩で、大の酒好き。
次は「助平(すけべい)喜ちゃん」。この地区に喜ちゃんと言われた人が5人いたから、誰を指したかは不明です。
3人目は「法螺(ほら)吹きカズちゃん」。県議2期、町長2期の大政治家だが、町有林にグリーンシャワーを計画したが実現できず法螺吹きカズちゃんと言われた。
4人目は何事にも(議員、農業委員)恐れず挑戦した明ちゃん。
俺が5番目で、山奥からに住んでいるが、年若いのに「礼儀正しい峠(とうげ=屋号)の尚ちゃん」ってね。
ほれ、5人の中で一番年若えわけだ。だからちゃん付けは、周りの人が考えて付けてくれるんだね。
その後、同じ議員(登米市との合併前の旧東和町町議会)したマサヨシさん、もう亡くなったんだけっどね。その方が「いやあ、俺んとこもなんとかその名さ入れてけっしゃろ(そういう名前を持ってる人の仲間に入れてくれよ)」っていうわけさ。今まで誰も「まっちゃん」なんて呼ばない、「マサヨシさん、マサヨシさん」って「さん」付けしてやったからねえ。しょうがねえから、(何の名前付けたらいいべかな?)って考えてさ、本人さ、「『金持ちのまっちゃん』で良いがすべか(でしょうか)?」って訊いたら、「いい」って言われて。「ちゃん」付けされた人の仲間に入りてかったって、なかなか入れなかったけども、最後にその人『金持ちのまっちゃん』って名がついたね。それでも、その人は「5ちゃん」には入ってないの。6番目だね。
それから「5さん」と言って、
1番は長年東和町長を務められた及哲さん。
2番目は木材会社を興した岩渕幸夫さん。
炭焼きから林業を興し、多くの人を雇った藤原東蔵さん、稲毛静吾さん、小山力夫さん。
この5人は、誰にもちゃん付けでは呼ばれず、みんな敬称のさん付けで呼んでいました。
「礼儀正しい尚ちゃん? ~佐藤尚衛・馬喰一代今を生き抜く~」佐藤尚衛さん[宮城県登米市東和町米川]昭和14(1939)年生まれ
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