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私が中学生の頃は、稲作も機械を使わずにやっていました。1反くらいの田んぼで田植えとなると、まず、牛にバコ(鋤すき)を牽かせて、土を返して田を起こします。
次に、田んぼに水をはって、牛に鉄の馬鍬(まぐわ)を縦横に2回か3回牽かせて、土を砕いてドロドロにする。そうしたら、代掻き(しろかき)をして、泥を平らにならして苗を植える準備をする。
その後、竹を挿した板で田んぼに線を引き、それに沿って女の人たちが横に30間くらい並んで、苗を植えていきます。そして、秋になったら稲刈り。これもコンバインではなく、鎌で手刈りです。刈り取った稲は束ねて、1間くらいの間隔で立てた杭に竹を渡し、そこにかけて自然乾燥させます。
今は、乾燥にも機械を使うけれど、自然乾燥の方がおいしいね。こういう手作業は、中学生の頃に実家を手伝って覚えました。家ごとにやり方も違うんです。農学寮では畑も畜産も全部機械。昔は鍬(くわ)で作ったうねも、寮では牛や馬にカルチベーターという機械を牽かせて作りました。そのカルチベーターも今じゃ使われなくなりましたから、子どもが農業を継ぐといっても、昔のやり方は全然分からない。やっぱり、自然と闘い、実践のなかで学んでいくしかないんですよ。机上の計画ではなく、実際に働いて体験しながらでないと農業はできません。
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