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馬の手入れはね、蹄(ひづめ)を守るのに、蹄鉄(ていてつ)ってやつ掛けんのさ。蹄鉄やってる「金靴(かなぐつ)屋」は米川(よねかわ)か津谷(つや:気仙沼市)にあんのさ。こいつだけは自分たちではできないから、米川の「三浦」っていう金靴屋まで行ったのね。そこに行って馬の爪を削る、そして鉄を赤く焼いてて、こいつを馬の蹄さ、おっつけるわけだ。すると形ができっから。固定するのに、端の部分さ長い釘3本ずつ打つわけ。だいたいそれで半日かかんだね。行って、1時間ぐらいかかって。そういう時は山越したんだね。
金靴屋は馬専門だよ。それくらい馬がいたってことだね。地駄引きだけでなく、薪(まき)だ、炭だと馬が背負って、駅まで、どこまでって馬車で行ったんだ。
木挽(こび)きって山で木を切る人は別にいる。木を切るときは、のこぎりを手で引くんだ。例えば、1つの会社の製材所があって、4~5人の木挽きがいる。それから山から切った材木を出す人。あとは車に積んで工場に持ってく人。だから当時は1つの会社に何組もの仕事がこの地域にできたわけだね。
「礼儀正しい尚ちゃん? ~佐藤尚衛・馬喰一代今を生き抜く~」佐藤尚衛さん[宮城県登米市東和町米川]昭和14(1939)年生まれ
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