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祭りの前には、必ず田束山に登ります。神様をお迎えに行くんですね。祭り前日の午後には神社に行って、神輿の担ぎ手は神官に祈祷をしてもらい、神輿に魂を入れてもらう。そして、翌日、祭りの1日目の午後には神輿を出して、45号線をずーっと魚竜館まで行って、神輿をきれいな海の水と塩で清めるんです。昔は違う場所で清めていたと言います。担ぎ手は、口に白い紙を挟み、白装束と地下足袋を履きます。地下足袋も昔は草鞋です。奥さんが妊娠をしている人は担ぎ手にはなれません。
また、祭りの前は、松の枝や竹を切って神輿の歩くところを全部、清めて、各家の前に縄を張る。神輿行列が通る魚竜館から45号線に向かう沿道もず〜っとです。これが、ひと仕事なんですが、伝統だからやらないわけにはいきません。担ぎ手も疲れますから、神輿の休憩所を作り、そこでも軽くお神酒を飲めるようにしておきます。こうした準備が本当に大変なんです。でも、伝統ですからやらざるを得ないんですよ。
祭りの2日目は、朝の10時に、神社から暴れ神輿が降りてきます。私も担いだことがあるけれど、誰も止められないほどの勢いなんですよ。神社の階段の下では、お囃子が流れて獅子が舞うんです。
これは京都からの流れを汲むもので、5つのお囃子を繰り返し演奏する。勇壮な“通り囃子”は、聴くと心がうきうきしますよ。自分も祭りに出たような気になるね。そこに、神社の階段からロープで吊るされた神輿が、だーっと揺れながら降りてくる。これがクライマックスで、最高なんですよ。そして、神輿の列は夕方には三嶋神社の神館に向かいます。神館に近づいたらお囃子と獅子舞が入れ替わり、屋台を先頭にして神輿も神館に入ります。ただね、今回の津波で、この神輿も神館も、みんな流されてしまいました。
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