文字サイズ |
嫁入りは、昔は仲人さんがついて、親が決めて、「こういう家が嫁に貰いにきた」ということで、「仕方ないな」と思って結婚しました。今なんて、こんなこと、考えられないよ。見たこともない人のところさ、お嫁に来たんだから。結納の品は、仲人さんが結婚前の「大安吉日」に持ってくるわけ。だけど誰かはわからないの。「こんなことってあるの」って思うよね。私たちでも思うもの、「よく、見たことねえ人さ嫁に来たもんだなあ~」ってね。でも兵隊に行って帰って来たっていうから、手足は丈夫なんだべな、って(笑)。
結婚する日に、「お婿さんが白足袋履いてくるんだ」って教えられて。「どんな人だべなあ」っと思って、足元ばり(ばかり)見て、「白足袋はいた人は、あの人かなあ」と、そう思ったの。お婿さんの方は、行列で貰いに来るんだよね。ぞろぞろと並んでな、袴はいたり、羽織着たり、紋付き着たりしてみんなそうして来たのさ。本家がまず先頭でないかな。右もらい、左もらい、カギ持ちって一番末っ子の人が一番下座敷さ、座らせられるとか、あとはもう、順番があるらしいね。いくら、あの、10軒の本家でも親族でも本家が上とか、その次はこの人って順番があるらしいの。
嫁を送るっていうわけでそれなりの順番があってくるんでないかな。本家の佐々木家がついてくるわけ。最初は本家同士で挨拶して、「座敷まわり」って、席を取り持つ人があって、「高砂や~」を歌ってね。「この浦船に帆を上げて~」って、そういう謡をする人が必ずいて、双方の親族を取り持つわけ。杯を持って「あの方からです」とか、「あの方がご返杯です」とかって運んだり、いろいろやったわけさ。
私は高島田に結って、つのかくしをして、そうして小鯖まで歩いて来たのさ。笹浜から。「今日あそこでお嫁に行くっつうから」ってわけで、部落の人がみんな見に来てくれるの。お天気良かったから、良かった(笑)。嫁入りしたのは、昔は旧暦でやったから、旧暦の12月25日でした。
結婚式の時は、かつらではなくて、自分の髪で高島田を結いました。今は年をとって髪が薄くなったけれど、元は髪もあったから、髪結いさんに来てもらって、自分の髪で結って振袖を着ました。旦那さんは羽織袴です。ご親戚だとか兄弟だとか皆集まって寄って、うちうちでお餅をついて、それが一番のごちそうでした。昔はホテルでないからね。
Please use the navigation to move within this section.