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このあたりでは蛸が有名で、私が小さい頃よく作っていた「蛸の渦巻」。ハムみたいに作るんです。このあたりでもだれも知らないんですが。
10月に獲れた蛸が気候が良くて一番いいというんですが、それを頭に竹を入れて、12月いっぱい干し蛸にするんです。
籠を作る竹を使うと、軟らかくってしなるから、それを頭に入れて広げるんです。頭の部分がしぼまないように干さないといけません。あとで足を、その頭の中に全部入れるから、小さくなってしまうと入んなくなってしまうからです。家の父がその作業は得意だったんです。だから私は直伝ですね。
昔はいっぱい蛸が獲れたから、30匹くらい干す。そして、今度はそれを水で戻すんです。戻した蛸の頭に足を全部入れるんですね。それで蛸糸でぐるぐる巻きにして、ちょうどハムのような出来あがりにするんです。そうすると蛸がすっかり美味しく出来上がって、そのまま最高のおつまみになるんです。
蛸も大きくて足の太いのでないと美味しくないですからね。今は数も少ないし、値段も上がっていますからね。それでも私は知り合いがいるから蛸が手に入ったんですが、この津波で獲れなくなりましたね。
たぶんまた蛸がここに来ると思うんだけど、「根蛸」ていって、志津川でずうっとそだった蛸の方が美味しいんです。蛸の小さいのがここに入ってきて大きくなった「マダコ」でないと作れないですからね。海の方の崖がアワビの宝庫なんですよ。志津川の蛸は、そのアワビを食べてそこに住みついている蛸だから、よそから入ってきた蛸よりも身が張っていて断然美味しいんです。志津川の海は遠浅だけれど、山から海にかけて全部岩なんです。今は海藻もなくなっているけれど、海藻の中にアワビが住んでいましたからね。そんな様子も、もう子供のころの思い出になってしまいましたけどね。
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