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子どもの頃は、父がね、草履を作って履かせられたんです。そうすると、3日位経つと、草履の周りのはみ出た藁が、ポサポサポサっと出てくるわけ。それをハサミで切っては、履いてたのね。そのうち、草履がくたびれそうになると、すぐに取り替えてくれたのね、父が。早く起きてね、藁をトントントントン、草履作ってくれたんです。赤とか白とか、いろんな布を手で撚(よ)って、巻いて、それを鼻緒にしました。漁業の仕事をしながら空いた時間で作ってくれたんです、はいはい。
よっぽど大きくなるまで靴なんてなかったね。雨の日はね、下駄。今のようにカッパなんて無いから、お婆さんが、お嫁に来る時持って来た毛布を、でっかい長持ちから出して来て、「これ被っていけよ」って、三角に折って、かぶせて、紐で結んでくれました。そして下駄を履いて宿の小学校まで歩いて行ったの。
そして、ストーブなんてないもの。雪なんか降ったら冷たいですよね。冷たいって言ったって仕方ないもの、足元に置いて。その濡れた毛布に足をくるんで、そして帰って来たんですね。そうして雨の日も風の日も休まないで通ったんですね。
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