文字サイズ |
船酔いしないというのには、生まれつきの体質はありません。気合いだな。船酔いしていた奴が、家に帰ってくると治るんです。不思議とね。船酔いするのは、開口で海に行く時も、「さあ行くぞ」っていうと、もうその時点で船酔いしてる。それが、雨で「明日は開口は中止」となると、夜にサイレンが鳴るんだけれども、それを聞くと、スッと治ってしまうんです。中止のサイレンが一番直る(笑)。朝方、開口中止のサイレンが鳴ったら、もう爆睡です。安心してね(笑)。
開口は、4時から6時まで。波の状態を見て、明日は波がないとなったら、ゴーサイン。朝から、風が吹いたりすると危険だから中止。で、サイレン。
開口日は、行事っていうより、生活がかかってるからね。それがもう、その家の収入の半分以上を占めてるから、一大事なわけです。今は養殖やなんかで、他にも稼げるけれど、当時は開口日にワカメとウニとアワビを獲って、1年の半分生活してるようなものです。後は、米は買わなくていいように無理して田んぼで米を作って、半農半漁。歌津の山は、こっちの半分は浜の人たちの物です。うちの山もあります。昔は油やなんかがあんまりなかったから、木を切って焚き物にしたのよ。木を切って、そこの魚竜館の前で船に積んで、泊浜まで持って行きました。だから山も、田んぼや畑も必要だったわけです。
開口には家族全員で行きます。なんでかっていうと、船で狭い所、岩場の狭い所、あんまり船が寄らない所にアワビでもウニでもたくさんいるから、わざわざそういう所に船を進めるためには、船の先っちょに乗って竹竿で岩にぶつからないようにする人が1人。同じく後ろにも1人。つまり前と後ろに岩にぶつからないようにお母さんとお嫁さんが竹竿持って乗って、男の人たちが獲り方。だから全員で行かなきゃならないんです。
Please use the navigation to move within this section.