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ここはね、ウニもたくさん獲れます。いっぱいとれるから、むき身で出荷するくらい。歌津は全部剥いて塩ウニですね。水揚げの少ない所は、とげ付のまま出荷します。
実は、歌津で一番獲れたのは、アワビなんです。目方に換算して、年100tくらいアワビが獲れました。そいつを剥いて、中国へ輸出していました。殻を剥いた後、アワビの殻が屋根より高くなった、それくらい獲れたものです。
自慢ではないけれども、相当深いところまで潜っても潜水病にかかったことはありません。一番深いところで、40メートルくらい潜ります。ふつうは2~30メートルくらいです。
で、ふつう奥さんが船の上で空気を送るんだけど、うちは家内が船酔いするから弟がその役目でした。
それで、ウニを潜水でも獲っても良いことになったら、獲れる量が半端でないの。島の周りも、ウニがうようよ・・。値段もだんだん上がってきた時で、潜れば海が時化ても安定して獲れるし、一度、9月に台風が来て水が濁ってどうしようもない時も、月に15日くらいしか漁ができなかったことがあるんだけど、それでも他の船は全く獲れないんだから、ずいぶん稼ぎました(笑)。
一番多い時は1日で1200キログラム獲ったこともあります。数字は自慢話に聞こえるから細かくはいらないよ。とにかく獲れました。それでも、今みたいに滅茶苦茶な獲り方はしていませんでしたよ。ここは獲ったから、次はあそこって具合に、1年で順番に回って獲りました。
漁協と契約していたので、船には、雇った人2人、自分、当時2つあった漁協の職員がそれぞれ1人ずつ2人で、合わせて5人乗り込んで、売り上げは、船の上で自分と2つの漁協で3つに分けます。振り込みなんてない時代の話です。漁師の「いたこ分け」って言って、船の上に積む板の上にその日獲れたものを並べてその場で分けるんです。現金ですね。雇った人の人件費も、2つの漁協と私とで分担して払いました。
潜水の資格を取り、船を持ってからは、漁が半分、潜水半分でした。歌津では当時潜水をする人はいなくて私が初めてでしたから、獲り放題です。海に潜れば、もう大量に獲れるからね・・。漁協の付き合いの関係で、夏場はウニを獲りました。
潜水じゃないと竹竿で1個ずつ獲る、それも深さは10メートルくらいまで。自分は、農業は嫌いだったから、なんとかして量を獲りたいと思ってね。
海岸線が36キロメートルあるんですが、そこをどう獲っても良いってことになって、当時は禁漁区とかなかったんです。ウニっていうのは、鉤で獲るには、6月・7月の2か月間で漁をします。県条例でね。だけど、ほら、その時期を終わった後に潜水で獲るんだったら、8月・9月になっても獲れるんです。深いところのウニは、その時期もまだ卵を持たないから獲れる。獲れる、獲れないというのは、ウニの状態で決まります。
ただ、時期を外して獲っていたら、そこを指摘されて、「密漁ですよ」なんて言われて、「じゃあ、どうすればいいんですか?」って聞いたら、「届け出さえすればいい」って、「何とかなりますよ」って・・(笑)。それで、9月いっぱいまで、期間を延ばしてもらいました。県条例が変わったわけです。潜水をやる人は他にはいないのよ。私1人だけです。
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