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また、父親が、ものすごい量の海苔を収穫して来てね。今は全部津波で流されたけれども、松島あたりの島で採って来たの。
うちの妹も「働き者(はだらぎもの)」でね。その妹と2人で、朝3時に起きて、大きなカゴに水を入れて、海苔を入れて、きれいにして、パンパンッと干して、3,000枚くらい仕上げたんだ。水場のないところだったから、夫は井戸から水を汲んでくる専門。汲んできた水に片っ端から冷たい氷が張ってくるほど空気が冷たくて、ふうって息で暖めてたよ。
それから、志津川の松原っていう所に田んぼがあって、そこにヨシが多いから刈りに行ったの。そいつを一本一本干して、編んで、切って、海苔を漉く「海苔簀(のりず)」っていうものを作ったの。あと、今のように機械でないからね、「トウバ」っていうものを作ってさ、そっちもこっちも日の当たるところを作って干すの。
女の人たちがみんな来て、ワーワー言いながら干した海苔を剥がして、おもしろいもんだった。そうしているうちに、父さんと主人はイワシ漁に行くんだ。夕方に行って、差してきたものをまた上げに行くんだから、相当辛かったと思うよ(イワシは光に集まる性質があるので、夜間に操業する)。あかぎれに薬を塗りこむ日々が続いたね。
夜に海苔を10枚ずつ勘定して100枚ずつ束ねて、箱に入れるんだ。だから主人もみんなも、(お金が沢山貯まって)ホクホクさ! ホクホク(笑)。
だから私はね、お金というもののありがたみは、さっぱり感じなかったのさ。「けせぇ(ちょうだい)」と言うと「けら(あげる)」って言われるから。子どもたちのものを買うときも、切りつめたことしないで、「なんぼ使う?」って訊かれて、父さんにもらえたの。
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