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昭和30(1955)年、北海道に刈払い植林作業の出稼ぎの話が持ち上がりました。ずっと北の方の中標津町で、前払いで日当450円もらえるということでした。4月から第一陣が入っていましたが、私は6月に行きました。トラックで山の中に連れていかれ、電気のない飯場、ほんとうの小屋に入れられました。そこは天然の温泉が涌いているところでした。曇ってる日はブヨが、天気のいい日はアブがもう顔のあたりから体中につくので大変でした。耐えかねて、来て1週間くらいで帰ってしまった人もいました。辛いけれど、兄弟たちのため、家のためと思い、「俺は必ず、ちゃんとした生活をする家庭を作るんだ」という気持ちでいたので、ほかの家がうらやましいという気持ちはありませんでした。
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