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私の昔からの趣味の一つに、釣りがあります。
海の近い志津川だから、ザッパ船を借りて、海で淡水魚の鮎釣りなどをしたものです。漁業権は要りません。
長沼のフナはしょっちゅう獲ったなぁ。長沼、伊豆沼のフナは骨が固いので有名で、昔はよく食べたものです。珍しいものではなく、用水路にいっぱいいたんです。フナはね、用水路の角の深くなった所にいっぱいいたんです。特に秋、フナが溜まります。堰き止めて、水を汲みだしてフナを出せばいいので、簡単なんですよ。2~3人隣の人たちと獲りに行って分けました。
獲ったフナは土臭い(※掘割の泥の中にもぐっている)から、真水に入れて2日くらいゴミ出しして、土臭ささを取んなくちゃならないんです。フナは味噌煮や、ふくさ汁にします。醤油はあまり使わないですね。串を刺すことを「弁慶に刺す」と言いますが、フナを串に刺してあぶって、味噌をつけて何回も囲炉裏で焼くんです。田楽ですね。そうすると燻製になって長持ちするんです。
また、冬のドジョウ堀りが楽しかったんですよ。冬の凍った田んぼの氷を剥がしてスコップで少しずつ掘ると、土の中にドジョウが刺さっている。泳いでるんではなく、刺さってるんだから。食べなくても獲るのが面白くてね。志津川の海の人はドジョウやフナは食べませんね。
「風の中、土に悠々と立つ──銀行マンの見た登米・志津川」須藤衛作さん(仮名)
[宮城県本吉郡南三陸町志津川]昭和7(1932)年生まれ
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