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私は感じていたけど、この震災前の海はおかしかったんですよね。夏の海だったけど、白波も立たない状態だったの。そんなのもうありえないわけですよ。全然船も揺れないし、風も吹かなかったし、「なんかおかしいな」って言ったのさ。
1月の20日に出港したんだけども、その時点で、すでに海がおかしかった。それで、ジョンストン島(=アメリカ領)ってハワイの東側の漁場についたらば、いつも貿易風って風が吹いてるのに、波が良くて、それがあまり吹いてなかったんですよね。
代わりに、海鳥がうるさかったの。海鳥が、船に50羽ぐらい、白いのから黒いのから、今までにない程、ついたんです。
そして、海の中はシャチがうるさかったわけ。マグロ延縄で打っていくと、マグロが釣り針に食いつくのを、後ろからシャチが食ってしまうんです。シャチってのは利口だから釣り針にはかかんないから、針のとこだけ残してマグロをみんな食べてしまうんです。
マグロの延縄を海に入れることを投縄(とうなわ)って言いますが、その後、2~3時間縄を海中に流しとくんだけども、もうその時点でシャチが海面に浮いてるんだもの。その時は「あー今日もダメだな」と思いました。マグロが食いついても、ほぼその8割ぐらいをシャチに食われてしまうんです。本当は水揚げは1日、相場で大体100万ぐらいなきゃなんないんだけども、そんなに獲れないです。1キロ800円として、1日約1~1.2トンぐらい獲んないといけない。でも、入れた延縄は上げて(揚縄(あげなわ)という)しまわないといけないから、辛いですよ。
そのときは、シャチがうるさいし、鳥がうるさいし、様子がおかしいなと思いましたが、どうにか操業を終えて、ハワイに観光に行ってから、再び船が出たときには、今度は風向きがおかしいんです。ハワイから出る時の風というのは、決まり決まったコースから吹くんだけども、そん時は逆だったんだよね。3月はじめの頃のことでした。
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