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昔から、ここは漁業です。世界で1番2番のクジラを獲ったこともあるそうです。その時のクジラのあごの骨で神社の鳥居を作ったそうです。私が小学校の頃です。
当時は、小学校4年生になると海に行かなければならなかったんです。なんとなくそういうことに決まっていました。だから、子どもたちは今みたいに遊び場もないし、夏は子どもたちで船を漕いで磯場に行って、子どもは何を獲っても食べても良かったから、1日中自由奔放に漁をして船で帰ってくる、それが遊びでした。冬、11月~12月は、家族全員で船に乗って手釣りでイカ釣りです。私が子どもの頃は、農繁期は学校が休みになりました。それで、学校が休みだと、海へ行ってね。
肉って言うのはめったに口にしませんでしたね。クジラの肉は食べましたよ。その他はたまに、卵を産むのに飼ってる鶏をシメたこともありました。
漁に出ると、黒い海鵜(うみう)がエサを狙って寄ってきて、延縄(はえなわ)にかかるんですよ。その羽をむしってカレーライスに入れてみたら、その肉が真っ黒で臭いんだ。美味しくなかったですねえ。でも肉には違いない。美味しくはないと言っても肉だからね。私たちが昔食べた肉というのは、そういうものでしたね。ジンギスカンとか豚肉なんていうものを口にするようになったのは最近ですね。子どもの頃は肉を食べることをしないから、初めて牛肉を食べたときは、それが鳥の肉だか牛だかも区別がつきませんでしたね。
私にとってのご馳走ってなんでしょうね。誕生日を祝うなんて習慣は田舎にはないですから。一番の大好物は稲荷寿司で、これが一番のご馳走だと思ってますね。ちらし寿司よりもお稲荷が好きだったですねぇ。子どものころから今だに(爆笑)。運動会や学芸会の時は、必ずお稲荷にしてもらってました。こういうことを言うと、自分の子どもたちにも笑われましたけど(笑)。昔は稲荷寿司の皮が缶詰になって売られていたんです。寿司飯は作るんだけど、皮だけは缶詰を買うんです。いまは、袋に入ってるでしょ? これがメーカーによってぜんぜん味が違うんですよ。あるメーカーじゃねぇと口に合わないというのがあって。いまは自分のところで煮ますが、やはり缶詰の方が美味しかったと感じますね。お祭りの時も稲荷寿司かって? お祭りのときは稲荷寿司じゃない、お餅ですよ。
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