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小学校時代は、毎日のようにそこの川に入って泳いだり、安いモリを持って歩いて、石の下に手を突っ込んで魚を捕ったりしてました。年中、川で遊んだ思いがありますね。馬の足公園の上流がここです。
魚とりをしたり、夏になりゃ水泳、川遊びをしたり。
ここには、ウグイとか天然のウナギがいました。ウナギは特別な漁法で、釣り針にドジョウをつけ夜に穴に仕掛けて、次の朝にひっかかっているかどうか見に行くんです。餌は太いミミズも使いました。
ふつうの魚はね、箱メガネって言うのかな、われわれは水眼(すいがん)と言うんだけれど、片手に箱の下に硝子を貼ったのぞきメガネ、片手にヤスを持って、反対側の腰には魚籠(びく)を、ここではフゴと言うんだけれど、竹で編んだものを付けて、川を巡りながらヤスでつくんです。
ハヤ、ウグイが獲れたけど、その他に、カジカもとれたんです。カジカはハゼのような魚で、京都ではゴリというのかな。春先にはカジカの卵を石の下に産卵するんです。オスが1匹そこに番をしているんですけど、そこにメスが来て石の下に卵を産卵するんです。これくらいの塊で、大きさは仁丹くらいで、山吹色の卵なんです。それは貴重で、みんなで時期になると争ってとりに行ったんです。今でもあるんですが、カジカも絶対数がかなり減ってきてるんで、昔のようにはとれなくなったなあ。卵はとってくると味噌汁なんかにしてね。
ひざ下位の水の浅い所にいて、あまり深いところにはないんですよ。子供同士の争いはないけど、見つけていたのを横から捕られちゃったみたいなのはあったね、「今日あたり行ってみるか」と行くと、「あー! とっくに捕られた」ということもあります。石がひっくり返っているから分かるのね。
雨が降って川が濁れば釣りですよ。竿は売っているものではなく、その辺の竹藪の釣竿にむいている笹竹に糸をつけてね。釣った魚は家に持ち帰り食べる。さばくような大きな魚ではないから、から揚げなんかにしましたね。その頃は今のように車もなく買い出しにも行けなかったので、魚は貴重なタンパク源だったのです。しょっちゅう、誰かが川に入っていました。
家を建ててからは、順調に忙しい生活が始まりました。本当に苦しくても、旦那は朝早く起きて海へ行ってワカメを拾って、ワカメを拾ってくると、3万、5万、7万円って日銭になったの。この人は川も好きだから、夜、川に網を張って川魚も獲りました。ウグイとかいろいろ。そういうのを売ったり、売らなくても床屋さんのお客さんにあげると喜ばれて、そのお客さんが次に来る時にいろいろな物を持ってきてくれたりしました。
そうやって一生懸命頑張って、その家を建てて何年目だろう? 手狭になったので、廊下を足して広間を建て増ししました。下を物置にして、上に部屋をとって子どもたちの部屋にしました。
「埴生の宿 Home, Sweet Home」幸田理子さん(仮名)
[宮城県気仙沼市本吉町]昭和12(1937)年生まれ
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