いろいろな地域の集まりに参加して、「変わってるな」と思った会があったの。それは「契約会」と「振興会」。
「契約会は一家の一番の長老が入るもので、すぐに入らなきゃいけない」と言われて、「契約会ってなんですか?」と聞いたら、「契約会で契約するんだ」と言われて、なんで契約するのかわからない。「入るのにお金を払って、契約書ってあるんですか? 領収書ってあるんですか?」と聞くと、「そんなの一切ない。昔からの伝えで今まで来ているんだから、習慣だから」と言う。さらに、「ここで死んでもこのお金は返さないよ。ただ、ここから出て行ったらお返しします。出ていく時には返すけど、突然出て行ったら返さない。その土地に住んだままで『辞めた』って脱退する時も返さない」って言うの。
変わってるなと思いました。意味がわからないから、どういう会なんだ?と思って、「契約会の規約みたいなのはあるんですか?」と聞いてみたんです。そしたら、「そんなのある訳ねぇ」って。「今までの人たちは理解して入っているんですか?」って言ったら、「あんた良いこと言ってくれたね」って言うんだけど、そのまま(笑)。「契約会」はご神木って言って昔から杉の木を持ってるのね。土地は本吉町所有の土地なのね、杉の木は、みんなで集めたお金でもって買ったものなんです。木が売れたら配当しますという趣旨なんだってね。それくらいがメリットと言えばそうなんだけど、今は杉も価格が下落しているし、それも切り出して運ぶのに売値以上のお金がかかるから、資産としては全然ダメなんだって。配当はもらったことがありませんね。
「風人の庵へ、ようこそ。」須藤寿郎さん(仮名)
[宮城県気仙沼市本吉町小泉]昭和19(1944)年生まれ
投稿日:2012.01.01
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