子どもの頃からアワビの開口日には、子どもも海に行って捕りました。半農半漁です。漁業組合に入っている組合員でないと捕ることはできません。アワビは当時も良い値段になりました。家内はベテランで、アワビを一山ずつ持ってきて貝から剥いて、身は取って、わたのほうをバケツに入れてもらってきました。私も開口日には時間休をとったり年休をとったりして漁に行きました。たくさん捕れたら組合に出して、その分は利得になります。家で食べることもできます。買って食べるよりは自分で釣って食べるほうが、せっかく権利を持っていますからね。
漁師にならないで勤めをしながら、遊びの時間に釣りに行く。そのうち船を持って、船でアワビ捕りや釣りに行きました。行って捕る。副業というより遊びです。本漁師ではないから、余計なことはできませんでした。ワカメ養殖を少しやったことがありますが、1日ついてやる仕事はやりませんでした。
漁へ出るために半休や年休を取るのは、休みをやりくりしたり、代わりに出てもらったりしました。アワビの開口なら1時間あれば帰ってこられる。捕ってくれば、後は女房に預けて、また勤めに戻りました。
「縦の糸はあなた、横の糸は私──夫婦の自分史」千葉貞雄さん・きちよさん
[宮城県本吉郡南三陸町歌津伊里前]昭和4(1929)年生まれ
投稿日:2012.01.01
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