「もらい湯」(被災地支援のボランティアに自宅のお風呂を使わせていただくこと)を始めたきっかけは、何人かの人には話したんですが、親戚が南三陸にいるし、まだ見つからない人もいるんです。それにやっぱり南三陸は隣町だし、なんかやらなきゃなんないなかと思いながらも、自分の仕事が再開すれば、そっちに行かなきゃなんないんです。だからボランティアのみなさんのように、ほんとは毎日支援に行きたいんだけど、そういうわけにもいかなかった。無事なところは無事なりにちゃんと通常通り動かなければならないんです。
そういう中でなにか出来ることはないか、と思っていた矢先に、4月3日、南三陸町(志津川)の人たちが避難してきて、手伝いにいったわけです。荷物を運んだりしてね。
一段落して、「そういえばここにボランティアの人来てたな」と思ったんです。実際に、我々地元の人間も「ボランティアと言っても、何しに来てるかわかんない」という感じだったのね。私は割と人前に立つときにあんまり物怖じしない性格なので、「こんにちは、ちょと見学させてください」って突然行って、RQの総務の安達さんにお願いして「地元の人間なんですが見学させてもらっていいですか?」と見させてもらいました。
「どういうゆうことをやっているんですか?」と聞いてみると、「物資の配送であるとか、泥出しもあるんですよ」って言ったので、「泥出しするんなら大変でしょう、汗を流す所はあるんですか?」と聞いたら「社協の方に時間限定でありますが、他の人はウェットティッシュで拭いて終わりです」。「じゃあ、うちの風呂は小さくて2人や3人なんだけど、汗ぐらいは流せるので入りに来ませんか」と、最初は信用されなかったですよ。「いつから来ますか?」と言ったら「明日からいいですか?」と。
最初は「冗談でしょう」みたいな感じで、信用されなくて「いやいや、ほんとにほんとに(来てもらっていいんです)」って。「え、いつからですか?」「明日からでもいいですよ」って言ってしまった。そのとき一緒に来ていた佐藤さんと2人で相談して、2軒でもらい湯をやるかって言ったんだけど、佐藤さんは明日からと聞くと、「うぁーちょっと待って、うちはだめだ。掃除してから」というので、そんな訳で、我が家が第1号になりました。
源敏一の「真っ向勝負!」源敏一さん[登米]昭和30年(1955年)生まれ
投稿日:2012.01.01
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